コラーゲンを知る

コラーゲンで失われた器官がよみがえる?ますます盛んになるコラーゲン利用の再生医療

再生医療

コラーゲンは体中の細胞を安定させて体を形作ります。「体内の細胞を安定させる働きがある」と文章にしてしまえば短く表現されていますが、内容は計り知れないほど大きい事なのです。

人間の細胞は60兆個もあるといわれています。もちろんこれは一人分の細胞の数です。この膨大な細胞群を安定して所定の場所に固定しているのがコラーゲンです。

体の形を作るということは、コラーゲンがなければ形が崩れてしまうということです。人間を含む多くの生き物は体の形を保つことができなくなり、人間の場合には生きていくことはできません。

ビタミンC欠乏によるコラーゲン不足の恐い病気

実際、ビタミンC不足で壊血病にかかると様々な部分から出血し、歯が抜けたり傷の治りが遅かったりします。最初は歯、爪など小さな部分から症状が現れますが、やがて全身症状へと病状が進みます。

壊血病はビタミンC欠乏からコラーゲンの体内生産に問題が起きる病気であるように、コラーゲン不足や劣化による問題は体中に現れます。

ということは、コラーゲンを利用すれば体中に良い影響を与えることができる可能性があるとも言えます。現代医学では体中のあらゆる部分の再生医療にコラーゲンが利用されています。

こんなにもある!コラーゲンが使われる希望の再生医療

皮膚の構造とコラーゲン

皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の三重構造になっており、その中でも真皮は皮膚の土台ともいえる部分です。

真皮には繊維芽細胞や毛根、毛細血管など大切な器官が存在します。その大切な器官の間には、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などがぎっしりと詰まっていてそれぞれの器官を守っています。

中でもコラーゲンは真皮の70%を占める主要成分といっても良い存在です。

大切な繊維芽細胞

コラーゲンを作っているのは繊維芽細胞です。繊維芽細胞はコラーゲンの他にもヒアルロン酸やエラスチンも作っています。

病気やケガ、床ずれなどで皮膚が慢性的にただれることがあり、特に最近は糖尿病による難治性皮膚潰瘍が増えています。治療が非常に難しく最悪の場合、手足の切断などの処置をする場合もあります。

このような、重篤な皮膚症状にコラーゲンを使った人工的な皮膚が貢献しています。

コラーゲンを使った人工的な皮膚とは?

コラーゲンを使った人工的な皮膚

コラーゲンで人工的に作られた真皮を、傷んだ皮膚の部分に埋め込むという方法は、毛細血管や繊維芽細胞が人工真皮に入り込み増殖することで本物の真皮が作られていくようになるという皮膚の再生医療です。

人工真皮はコラーゲンでできているので、自然に体内に吸収されてなくなっていきます。新しく生まれた真皮の上に表皮ができて皮膚が再生されていきます。

関節は働きものの器官

関節は、人間の体の器官の中でも生涯にわたり常に酷使される運動器系の器官の一つです。

体の器官で楽をしている器官などありませんが、関節は曲げる、ねじる、ひねるといった動きをするたびに、大きな負荷がかかる器官です。

複雑な動きをこなしながら目いっぱい力仕事もこなしているのです。

関節は損傷すると自分で修復できない?

そのため、多くの人々が加齢によって関節軟骨を損傷してしまいます。変形性関節痛は膝や腰に起こる代表的な関節の病気ですが、関節には血管がありません。

そのため血行による栄養補給というものがなく、一度損傷すると再生は不可能と言われていました。

コラーゲンで軟骨が再生される!?

しかし非変性Ⅱ型コラーゲンが抽出されるようになったことで事態大きく変わりました。非変性Ⅱ型コラーゲンを経口摂取すると、関節軟骨が再生されることが分かったのです。

他にもIPS細胞とⅪ型コラーゲンを使うことで、軟骨細胞を再生する方法も開発されています。IPS細胞にⅪ型コラーゲンを導入し、再生した軟骨細胞にはⅡ型コラーゲンが増殖することも確認されています。

角膜の再生

目

目はコラーゲンが非常に多い器官で、見る力を決定づける角膜は特にコラーゲンが多く含まれます。

豚由来コラーゲンを使って作られた透明な素材に、ヒトの細胞を培養して角膜を作る研究もおこなわれており、実用化に向けた研究が進められています。

毛髪の再生

男女ともに髪が少なくなるのは老化現象ですが、若い人も薄毛に悩まされることがあります。髪が薄い、抜けるといった悩みは、若い人にとっては、とても深刻です。

発毛には17型コラーゲンが深く関係していることが複数の研究機関からわかっています。そのため17型コラーゲンを利用して髪を生えさせる方法も研究されており、近い将来実現することが期待されています。

医療現場以外で進化するコラーゲンの再生能力

美容レベルで実感できるコラーゲンの再生

現在コラーゲンを愛用している人の大部分は、コラーゲンを飲んだり食べたり塗ったりすることでお肌や髪がきれいになることを実感している人たちです。

これは、コラーゲンペプチドが体内のコラーゲン製造細胞を活性化させて、衰えたコラーゲン製造能力を再生させているおかげです。

健康レベルで実感するラーゲンの再生能力

目が見えにくくなる白内障は、角膜のコラーゲンの劣化から起きる病気です。

五十肩や関節痛は関節軟骨のコラーゲンの劣化や減少から起きる不具合ですが、これらの不調もコラーゲンを継続摂取すると軽減されていきます。

コラーゲンは角膜や関節軟骨のコラーゲン製造細胞を再生していますので、コラーゲン量が増えることで症状が緩和されると言えます。

このように、日常生活の中で実感できるコラーゲンの再生能力が、再生医療という非常に高度な医療にコラーゲンが利用されるきっかけになっていると言えるでしょう。

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